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【3ステップで解説】何から取り組むかがわかる介護リーダーロードマップ

キャリアアップ

介護リーダーになったけど、何をどうすればいいかわからない。そんな悩みを抱えていませんか?

わたしも同じでした。
社会人4年目で現場統括リーダーになり、大した経験もノウハウもないまま人の上に立つことになりました。
部下は歳上ばかり。スキルも経験も相手のほうが上。リーダーとしての自分の存在意義を見失っていました。

そこからリーダーとして何をすべきかを学び、施設で必要とされるレベルまで成長できた。
そのノウハウをまとめたのがこの3ステップです。

この記事の内容を実践すると、介護リーダーとして何をどう行動すればいいかが明確になります。

ステップ1:介護を考える

1:介護職の役割を理解する

介護職の役割は、介護保険法の第一条に明記されています。

第一条
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。  
引用: 厚生労働省 介護保険法(平成9年法律第123号)

介護保険法では、介護保険制度の目的として「尊厳の保持」「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むこと」が示されています。

尊厳を守る介護:「その人らしさを大切にしながら支える介護」
自立支援の介護:「本人の能力を活かしながら、安全に生活できるよう手助けする介護」

その人らしさとは、その方がこれまで送ってきた生活や価値観を大切にすることです。

では、介護職として「尊厳を守る」「自立を支援する」とは、具体的にどのような介護をすることでしょうか。

ここからは、「自分はどんな介護をしたいのか」を考えていきます。
介護の基本的な役割を理解したうえで、自分が大切にしたいことを言葉にする。

それが、自分の介護観をつくる第一歩です。

2:「やりたい介護」と「やりたくない介護」を言語化する

介護職の役割を理解したら、次に考えたいのが「自分はどんな介護をしたいのか」ということです。

「尊厳を守る」「自立を支援する」といっても、その実践方法は一つではありません。

だからこそ、自分自身が大切にしたい介護を考え、言葉にしていく必要があります。

どんな介護がやりたいか?
また、どんな介護はやりたくないか?

ここが、あなたの介護観の軸になります。

介護観が明確になると、スタッフと介護について話し合うときにも、自分の考えを伝えやすくなります。
リーダーにとって、同じ方向を向いてくれる仲間をつくることは重要です。
なぜなら、今後取り組む施設の仕組みづくりなどは、リーダー一人では実現できないことが多いからです。

また、部下はリーダーの介護に対する考えを見ています。
やりたい介護がある部下は、自分の介護観と合うか判断します。
軸を持たないリーダーには、そういったスタッフはついてきません。

「スタッフ、利用者、家族からあまり信頼されていないな。」と感じるリーダーの中には、「やりたい介護」と「やりたくない介護」が言語化できていないケースがあります。
一貫性のない判断が、信頼を失う原因の一つになることがあるからです。

「リーダーとはこうあるべきだ」とスタッフ一人ひとり自分の考え(持論)があります。
それを押し付けてくるスタッフが中にはいますが、振り回されてはいけません。
ここで決めた介護職として働く【軸】をぶらさないようにしましょう。

ステップ1 まとめ

・実践後の状態:介護観の軸が明確になっている
・身につくスキル:介護保険法の理解・介護観の言語化

わたしの介護観

ここからは、参考として私自身の介護観を紹介します。

介護観に正解はありません。

私の考えをそのまま正解とするのではなく、「自分ならどんな介護を大切にするか」を考えるきっかけとして読んでみてください。

やりたい介護:
介護現場を“ふつうの生活”に近づけ、なじみの関係を築く

やりたくない介護:
スタッフ主体で、効率だけを優先してしまうケア

多くの介護現場を見て感じたことは、「スタッフの都合でケアが行われていることが多い」という点です。

例えば、トイレで排泄できる方が時間短縮の為ベッド上でおむつ交換させられていたり、一人で食事できる方が食事介助させられていたり。

トイレで排泄することには意味があります。
便座に座ることで重力が働き、お通じが出やすくなる。
するとお腹が空いて食事が進む。
結果、エネルギーが蓄えられ、元気になる。
このメカニズムを頭に入れてケアをしているスタッフは、意外と多くありません。

わたしたちのケア次第で利用者のQOLが低下してしまいます。
だからこそ、三大介護(食事・排泄・入浴)の方向性を明確にすることが、やりたい介護を実現するための出発点と考えました。

三大介護についての詳しい考え方はこちらで解説しています▼

三大介護の考え方をより深めたい方には、この本をおすすめします。
『新しい介護』は、利用者を中心にした介護とは何かを考えるきっかけを与えてくれる一冊です▼

認知症ケアや終末期ケアについても、自分の介護観を持って臨むことが大切です▼

ステップ2:チームをつくる

やりたい介護、やりたくない介護が明確になったら、それを実現するためにチームを作っていきます。

チームの規模は、与えられたリーダーの立場によって異なります。
例えば、現場のトップであれば施設の介護職員全員が対象になるため大きなチームです。
一方、グループのリーダーであれば少人数のチームになるでしょう。

ただ、やるべきことは変わりません。

リーダーの役割は、

やりたい介護・やりたくない介護をチームに浸透させ、実現することです。

そのためには、人間関係をつくり、考えを伝え、チームで話し合い、実際の介護を変えていく必要があります。

ただし、自分の介護観が会社の理念や方向性と大きく異なる場合は、転職を検討しましょう。
会社の方向性は合っているが管理者と合わない場合は、まず異動を検討しましょう。
介護観が合わない環境で働き続けることは、自分にとっても会社にとっても辛いものです。
転職を検討している方におすすめのサービスは、この記事の最後で紹介しています。

ここからは「自分のやりたい介護を、どうやってチームで実現していくのか」を考えていきます。

1:人間関係を構築する

チームを作っていく上で、まず最初に始めることは、人間関係の構築です。

リーダーになったばかりの頃、指示を出すことに苦手意識を感じる方は多いのではないでしょうか。
仲の良いスタッフには言いやすいが、関係性が薄いスタッフには言いにくいものです。

気が合わない人や苦手な人がいるのは自然なことです。それでも関係性を作っておく必要があります。

人間関係を構築するために、3つのことを行います。

① 聴く・訊く    → 相手を理解する
② 伝える      → 自分を理解してもらう
③ 仕事をやり遂げる → 信頼を得る

①聴く・訊く

「話を聴いてくれない。わたしの事を知ろうとしてくれない。」
相手にそう感じさせてしまえば、良い関係性は長くは続かないでしょう。
相手の思いや考えをキクことは、関係性を構築するうえで重要です。

介護現場では、2種類のキクを使いましょう。

聴く:相手の話したい内容を理解するために話を聴く。
訊く:相手の考えを知るために自分から積極的に訊く

相手の話をなんとなく聞き流してはいけません。
『聴いてくれている!』と思ってもらえる、聴く技術を身につけましょう。

聴くときに意識する5つのポイント

① 表情
笑顔を先に出すことで、相手の不安を取り除きます。
また、相手の話の内容に合わせて表情を変えることも大切です。
楽しい話には笑顔で、辛い話には真剣な表情で。
表情が一定だと「本当に聴いているのかな」と思われてしまいます。

② うなずき
うなずきは弱・中・強を使い分けます。
基本は小さくうなずく「弱」のスタンスで十分です。
大きくうなずきすぎると、かえって不自然に見えることがあります。

③ 姿勢
前傾姿勢で相手に体を向けます。
へそを相手に向け、手を止めて話を聴くことが大切です。
パソコンや書類に向きながら聴いていると、「話を聴いていない」と感じさせてしまいます。

④ 笑い
相手が笑ったときは一緒に笑いましょう。
笑いを共有することで、場の雰囲気が和らぎ距離が縮まります。

⑤ 感嘆と称賛
称賛と感嘆はセットで使うことが大切です。
「すごいですね!」と褒めるだけより、「え、本当ですか!?すごいですね!」と驚きを先に出すことで、相手は「ちゃんと聴いてもらえた」と感じます。
驚き+褒めのセットを意識しましょう。

こんな経験はありませんか?

●「うん、うん」と頷き聴いてくれているが、体はパソコンの方を向いている。
●「へー、すごいね!」と言ってくれたが、「私のほうがもっと凄い」アピールをしてくる。

こういった場面で、「わたしの話に興味ないのかな。」「聴いていないな。」と感じませんか?

話を聴く時、相手が主役です。
自分が主役にならないように意識しましょう。
時々、「それで?」「それから?」という質問をすることもいいでしょう。

ただ聴くだけではなく、訊くことも重要です。
スタッフから「どうしたらいいですか?」と質問があった際は、答えを教えるのではなく、スタッフ自身が考えるように訊き返すことで、問題解決思考が育ちます。

傾聴・受容・共感についてより深く学びたい方はこちら▼

スタッフの問題解決思考を育てるためには、リーダー自身も問題解決思考を持つことが重要です。

②伝える

聴く・訊くと同じくらい大切なのが「伝える」ことです。

「どうしたいのか」を伝えられないリーダーは、「この人、何を考えているのかわからない。」と壁を作られてしまいます。
傾聴だけでは不十分です。
「私はこう考えています。」と伝えることで、初めてチームに介護観が浸透していきます。

伝えることが苦手という方も安心してください。
リーダーは毎日多くの質問を受けます。
その分、伝える練習の機会が自然と生まれます。
リーダーの特権として、プラスに捉えましょう。

伝え方の4つのポイント

① 結論(主張)
まず「何を伝えたいのか」を一言で言います。
結論が最初に来ることで、相手は話の全体像をつかんだ上で聴けます。
結論が曖昧なまま話し始めると、相手は「何が言いたいのかわからない」と感じてしまいます。

② 根拠(なぜなら)
結論の後に「なぜそう思うのか」を伝えます。
根拠は3つが目安ですが、1つや2つでも構いません。
大切なのは「結論と根拠が意味としてつながっていること」です。
根拠が多すぎると相手の頭に残らないので、多くても3つまでにまとめましょう。

③ 事実(たとえば)
根拠をさらに具体的にします。
「たとえば」「想像してみてください」という言葉を使うことで、相手はリアルに状況をイメージできます。
事実があることで、伝えたい内容に説得力が生まれます。

④ 結論(主張)
最後にもう一度同じ結論を繰り返します。
最初と最後に結論を言うことで、伝えたいメッセージが相手の頭に残ります。

「うまく伝えられなかったな。」と感じたら、なぜうまくいかなかったのか振り返りましょう。

わたし自身は、結論部分が明確になっていなかった時に、話が遠回りし脱線する傾向があります。
話しながら結論を探している状態です。
これは相手に無駄に考えさせてしまうので、良い伝え方とは言えません。
「この質問に対しての良い回答(伝え方)は何だったのか」と振り返りをし続けるようにしています。

伝え方をより深く学びたい方はこちら▼

③仕事をやり遂げる

自分の役割を最後までやり遂げることです。

「利用者からお願いされたことを忘れてほったらかしにする。」「口だけのリーダー。」等、「あの人リーダーなのに何もしないよね。」と言われている人を見たことはありませんか。
これはリーダーに限らず全員に当てはまります。
自分の役割を全うしていないと、きちんと仕事をしている人から距離を置かれてしまいます。

まずは施設の最低限の仕事を無難にこなし、自分の居場所を作ることが先決です。
シフトごとの動きを覚えること、介護技術(食事介助・移乗など)が一定水準でできること。
周りのスタッフと同じ水準で動けるレベルになることから始めましょう。

「遅番は問題なく動けるのに、早番になると動き方がわからず周りに頼りっぱなしになってしまう。」「介助の質が粗く、利用者から不満が出ている。」
そんなリーダーは、スタッフから信頼されなくなります。改善する努力をしましょう。


施設での基本的な動きが身についてきたら、次はリーダーとしての役割を果たしていきましょう。

チームリーダーの役割は、
やりたい介護、やりたくない介護をチームに浸透させ実現する

これを実現するために、リーダーは2つのことを行っていかなければなりません。

① 決めること
やりたい介護を実現するために、AとBどちらかを選択しなければならない場面があります。
リーダーが中心となって決断していきましょう。

② 変えること
施設を変化させていくことです。
仕組みやルールを仲間と一緒に作ったり見直したりしながら、少しずつ施設をやりたい介護に近づけていきましょう。

やりたい介護をチームに浸透させるためのヒントは、次のセクションで解説します。


なお、仕事をやり遂げていく中で、リーダーはさまざまな悩みに直面します。
気になる記事があればぜひ読んでみてください。

誰に何を任せるか迷っているリーダーはこちら▼

歳上スタッフに指導・指摘できず悩んでいるリーダーはこちら▼

 リーダーの悩みを解決する記事はこちら▼
一覧を見る

2:会話する場を活用する

人間関係を構築する中の「仕事をやり遂げる」で、やりたい介護、やりたくない介護をチームに浸透させ実現することがリーダーの役割だと説明しました。

では、そのやりたい介護、やりたくない介護を浸透させるためにどうすればいいのか?

スタッフと会話する5つの場を活用します。

1.現場(フロア)
2.申し送り
3.会議(ミーティング)
4.面談
5.研修

現場(フロア)

最もリアルに介護観があらわれるのが、日々の現場です。
利用者対応やスタッフの動きに「あれ?」と違和感を覚えた瞬間こそ、介護観を伝えるチャンスです。

たとえば、
「その対応、どんな意図があったの?」
「自分ならこうしたかも。なぜなら…」
といった声かけが、スタッフに気づきを与え、内省を促すきっかけになります。

その場で介護観を伝えられるので、効果的です。

申し送り

申し送りは、介護・看護・リハビリなど多職種が関わる貴重な対話の時間。
単なる情報伝達で終わらせず、「介護観や方針を現場に送る」機会として活用しましょう。

◆ 申し送りの基本設計

時間:10〜15分で簡潔に
スタンス:声の大きさ・言葉使い・視線の合わせ方・間合いを意識する
流れ:夜勤明け→日勤リーダー→夜勤入りの順に情報を“送る” 
※日勤リーダーは送りをもらったらその他の全出勤スタッフへ送る

◆ 伝えるべき情報

管理者:事故やクレームの共有・会議で決まったことの共有・業務改善
介護職:食事・排泄・入浴・認知症ケア・終末期が中心
看護職:医療的処置・体調変化

問題が発生している場合は「問題→原因→目標→対策」の順で伝えることを意識しましょう。
次のアクションに繋がる「送り」が重要です。
例:A様は夜間寝ていません。日中帯にベッドで横になっていたからです。生活リズムを整えたいので日中は散歩に行きましょう。

介護の申し送り改善ポイントまとめ▼

会議(ミーティング)

リーダー自身の考え方や方針を伝えて、チームが行う介護の方向性を話し合って決めましょう。

  • 全体会議:施設方針・収支・業務改善の共有
    主催者:管理者
  • リーダー会議:仕組みづくりやメンバーの育成進捗。業務改善。現場での課題とその分析・改善策。
    主催者:統括リーダー又はチームリーダー
  • チーム会議:利用者の個別ケアや認知症対応の共有
    主催者:チームリーダー

    会議には、多職種の方にも出てもらいましょう!
    介護職と看護職など、職種間の壁を取り除くためにも、多職種に参加してもらうことが大切です。
    お互いの役割や考えを知ることで、連携がスムーズになります。
    主催者が積極的に声をかけましょう。

    ※施設のスタッフ数によって開催される会議の数や内容は違います。

会議への参加率が低い、または共有がうまくいっていない場合は、不参加者には個別で内容を主催者が伝えましょう。
組織としての共有文化が育ってくると、スタッフ間で自然と情報が伝わるようになります。

会議で話すネタがなくなった?!レジメを作れば解決!!▼


面談

職員と1対1で思いや考えを伝え合い、話し合いを重ねて望む方向に進む。
お互いの思いや考えを共有できる事が重要です。

【良い面談とは】
・スタッフが「話したいことを話せた」「聞いてもらえた」と感じる面談。
・一方的ではなく、双方向の考えを共有できる。

【悪い面談とは】
・リーダーが一方的に話すばかりでスタッフが受け身となり「なんだかよくわからなかった」という気持ちにさせる面談。

【面談の流れ】
1.わたしの作りたい施設や思い(介護観)を伝える。

2.相手にどんな介護がやりたいのか?どんな介護はやりたくないか?を説明してもらう。
この質問にすぐ答えられるスタッフは多くありません。その場合は「なぜ介護職になろうと思ったのか」など、きっかけを聞いてみることも有効です。介護を始めた理由の中に、その人の介護観のヒントが隠れていることがあります。

3.相手のやりたい介護、やりたくない介護を実現するために、一緒に目標を決める。

※1でどんな介護がしたいか事前に聞く事でそれが出来ていない場合、指摘しやすく原因自分論で考えられるように仕向けられる。

面談の頻度は年2回(上期・下期)が目安ですが、気になるタイミングでの“随時面談”も効果的です。

「目標を決めろ!」会社からの指示に困惑。目標は0からつくるものではない!?▼

研修

研修もまた、介護観を伝える仕組みの一つです。
大切なのは、「知った」だけで終わらせず、「できるようになる」まで繋げること。

  1. 研修で知識を得る
  2. 実際のケアで試す
  3. 振り返って課題を共有
  4. 再実践し、定着させる

ロールプレイや実例共有を通じて、介護観を”体感”できる研修にしましょう。
学びをチームで共有する文化が育つと、現場の介護の質が自然と上がっていきます。

わたしの場合、「便座に座ることで重力が働き、お通じが出やすくなる。だからトイレで排泄することに意味がある」という介護観がありました。
その介護観を実現するために「片麻痺の方をどうやってトイレに連れて行くか」を研修テーマにしました。
スタッフに手順を伝え、実際のケアで試してもらい、うまくいかなかった場面をチームで振り返る。
そして再実践することで、技術が定着していきます。
この流れで介護観と技術が結びつきます。


あなたの施設では、5つの会話する場は整備されていますか?

わたしの施設では、面談が全く行われていないなど、整備できていない場が多くありました。
だからこそ、一つずつ作っていきました。

出来ていないものがあれば管理者など上長を巻き込んで作っていきましょう。
上長が協力的でなければ、仲間と取り組みましょう。

3:チームづくりのゴールとは

チームづくりのゴールとは、何をもって完結となるのか。

前提として、自分のやりたい介護の方向性が会社の理念と合っていることが必要です。
方向性がズレたまま進めると、いくら頑張っても自己満足で終わってしまいます。

その上で、

やりたい介護・やりたくない介護がチームに浸透し、
利用者・ご家族・スタッフが「ここに来て良かった。」「ここで働けて良かった。」
と思ってもらえているかどうかがゴールです。

もちろん全員に思ってもらうことは不可能です。
わたしの場合、8割の方にそう感じてもらえれば自分の役割を果たしたと判断します。

なぜ8割か?
それは2:6:2の法則からです。

2:6:2の法則に従えば、スタッフの場合上位2割はわたしの考えとマッチしている。
中位の6割は特に考えはなく介護をしている。
下位2割はわたしの考えとマッチしていない。
重要なことは中位6割の人にどうアプローチをするかです。
うまくアプローチできれば、自分の考えに賛同してくれます。
よって、8割となります。

利用者やご家族の場合も同じです。
要望が多すぎて、すべての期待に応えられず評価されないことがあります。
また介護観の違いもあります。
まだ歩ける方なのにご家族から「転ばせたくないから寝かせたままで。」等、考えが合わない方からも評価されません。

では、8割の達成度をどう測るか。
介護現場は「ありがとう」「(スタッフの)配慮が足りない」など定性的に評価されることが多いです。
定量的に評価しないと8割が達成できたかわかりません。

そこで活用したいのがアンケートです。
種類は3つです。

1. 利用者用アンケート
2. ご家族用アンケート
3. スタッフ用アンケート

質問内容をいくつか作り3点満点(1=不満、2=普通、3=満足)で評価してもらいます。
例)
・利用者:スタッフの対応(親切さ・声かけなど)に満足していますか?
・ご家族:この施設に安心感・信頼感を感じますか?
・スタッフ:仕事のやりがいや満足度はありますか?

年度末に実施し、8割以上の方が2=普通または3=満足を選んでくれていれば達成です。
「普通」と感じてもらえている状態は、不満なく過ごせている証拠であり、それ自体がチームづくりの成果と考えています。

※重度の認知症等、答えられない方は対象外になります。

わたしが大切にしていること

評価の振り返りをする際に、大切にしていることがあります。
それは、実感(感覚)だけで評価していないかどうかです。

例えば、「毎日の食事が楽しみ」と笑顔で話す利用者が多いという実感に対して、「この施設は食事の満足度が高い」と評価するにはまだ早いということです。
事実(数値)も確認する必要があります。

真実=実感×事実

真実とは、本当の姿。
実感とは、感覚や気持ち。
事実とは、数値などのデータ。

この考え方に当てはめると、

・実感:「毎日の食事が楽しみ」と笑顔で話す利用者が多い
・事実:利用者アンケートで「食事は美味しい」と80%が回答

この2つの結果から、

・真実:この施設は食事の満足度が高い、と評価します。

自分の評価が自己満足で終わらないよう取り入れています。

ステップ2 まとめ

実践後の状態:やりたい介護がチームに浸透し、8割の方に支持されている
身につくスキル:人間関係の構築・介護観の伝え方・会話する場の活用方法・達成度の測り方

ステップ3:キャリアアップ

1:自分が施設を去った後をイメージする

ここまで、愚直に取り組んできたあなたは施設内でそれなりの影響力をもっているでしょう。
だからこそ、考えないといけないことがあります。

それは、施設を去った後のことです。
去ることはないと思っていても、急な異動や病気などの不可抗力によるもの、キャリアアップや転職。ずっと同じ施設で働ける保証はありません。

あなたが去り、利用者の満足度が下がったりスタッフの退職率が上がった。
これは避けないといけません。

ただ正直、STEP2ができていれば、あなたが去った後、チームや施設が大きく崩れることはありません。
なぜなら、土台を作ったからです。

ここで言う土台とは、介護に対する考え方(介護観)と、それを伝え続けるための5つの会話の場(仕組み)です。

介護観を引き継いだ仲間がいれば、それが施設の当たり前になります。
当たり前になったことは、リーダーが変わっても簡単には崩れません。
仕組みも同様に引き継がれていきます。

わたしの場合、去った後の会議でも「ADLを考えて、機械浴から個浴に移行できる利用者はいないか」という視点で話し合いが続いているなら、それが介護観が根付いた証だと考えています。

なお、介護観がチームに定着するまでには、3〜5年かかることが多いです。
これはわたし自身の体験に加え、介護観の定着に取り組む知人や、この分野に精通した専門家の意見からも同様のことが言われています。
焦らず、長期的に取り組むことが大切です。

ただし、新たなリーダーの方針が違えばチームや施設は一からスタートするでしょう。
それは仕方のないことです。
あなたがSTEP1・2をやり遂げたことで、十分な土台は残せています。

2:今後のキャリア

お疲れさまでした。
ここまでくれば、リーダーとして自信を持てているはずです。

この先は、自分でどうしていくかを考えてみてください。
リーダーとして別の施設に異動や転職し、学んだノウハウを新しい環境で利用者やスタッフに還元していくのか、管理者となりより広い視点で施設をマネジメントしていくのか。はたまた、全く違う業界に行くのか。

どの道を選んでも、ここまで積み上げてきた経験は活きます。

ちなみにわたしは同じリーダー職で転職しました。
なぜか?
色々要因はありますが、自分の価値は介護業界でどれくらいなのか知りたかったからです。
リーダーとして実績を残してきた自信があり、その経験をどれくらい評価してもらえるのか試したかったのです。
結果、その時の年収より多く払ってくれる企業に転職しました。
年収が低くなるのであれば転職はせず残る考えでした。

転職活動自体はそこまで手間はかかりません。
複数の施設に見学に行き、担当のエージェントに今までの実績と経験を伝え「今の自分のスキルだったら年収どれぐらいから始まるのか」訊くだけです。

今のあなたは、悩みながらもやりたいことが見えていると思います。
それは主体的に行動してきたからです。
この先も、さらなる活躍を期待しています。

ステップ3 まとめ

実践後の状態:リーダーとして自信を持ち、次のキャリアが見えている
身につくスキル:施設への貢献の残し方・キャリアの描き方

自分の市場価値は?今の施設で安く買い叩かれていない!?正当な評価を▼

まとめ:3ステップを実践してやりたい介護を実現しよう

今回は、やりたい介護を実現するための3ステップをまとめました。
介護リーダーとして成長するために、長期的な視点で取り組むことが重要です。

今回紹介したステップは以下の通りです。


コメント

  1. eri より:

    ただ漠然と、「こんな上司の下で働きたくない。」が、私の主任試験の受験動機でした。介護で言うと、施設主体のケア。当時の上司は、ケアの質より、介護者の負担減を考える上司でした。介護職、看護職をやっていると、様々な揉め事を目にします。でも、理念があれば団結する。その理念を伝える手段が見えました。参考になりました。

    • だいき だいき より:

      eriさん
      コメントありがとうございます。

      理念って、掲げているだけではなかなか現場に浸透しませんよね。
      結局は、日々のケアや会議の中で「この施設は何を大事にするのか」を、何度も言葉にしていくしかないんだと思います。

      負担軽減ももちろん大切ですが、そこに「誰のためのケアか」という軸がないと、現場は迷ってしまいますよね。
      理念が共通言語になると、職種や立場が違っても、同じ方向を向けるようになると感じています。

      eriさんの受験動機、とても共感しました。
      利用者主体の施設づくり、ぜひ続けていってほしいです。