〜理念を現場に浸透させる育成ステップとは?〜
「理念が伝わらない」「新人がすぐ辞めてしまう」「リーダーが育たない」──
そんな悩みを抱えていませんか?
本記事では、介護施設マネジメントに悩む管理者向けに、“理念が根づく人材育成の仕組み”をご紹介します。現場主導の属人的な教育では限界がある今、組織として人を育てる“仕組み化”が鍵を握ります。
なぜ今、人財育成に“仕組み”が必要なのか?
介護現場は人で成り立っています。スタッフ一人ひとりが、管理者の掲げるビジョン──たとえば、「“ふつうの生活”を支えるホーム」や「ご入居者と“なじみの関係”を築くホーム」──を理解し、自らの仕事に落とし込んでいけることが大切です。
しかし、属人的な教え方では限界があります。そこで必要なのが、「人が育つ仕組み」。これによって、理念を現場に根付かせる“土壌”をつくることができるのです。
【ステップ①】プリセプター制度を導入し、“育てる側”を育てる
▶ プリセプター決定ミーティング(入社2週間〜1ヶ月前)
- 目的: 新人を導く育成担当=プリセプターを決定する。
- 参加者: 管理者・運営メンバー(副管理者、リーダークラス等)
【プリセプターの役割】
教える方法 | 内容 |
---|---|
言って聞かせる | 言葉・文章・図解で業務を説明する |
してみせる | 実技や対応の実演 |
やってもらう | 危険予測を含めて実際にやってもらう |
ほめる | 成功体験を積ませる |
任せてみる | 失敗や焦りを通じて成長を見守る |
【ステップ②】新人受け入れ準備と“孤立させない”環境づくり
- 利用者一覧表
- 業務マニュアル(シフトごと)
- 個人で使用するもの(ロッカー、名札、制服、レターボックス、靴箱等)
- ウェルカムボード
- 振り返りシート(試用期間用)
▶ 振り返りシートのねらい
「見えない」「聞こえない」「わからない」状態を放置しない。
記入例:
- 実施したケア内容(例:◯様の排泄介助)
- うまくいったこと/課題
- 次回の改善点
- 疑問・質問
確認: プリセプターが随時チェックし、週1回管理者が確認
※新人職員は試用期間以降、自ら先輩スタッフに疑問や質問をしていく(自発性)
【ステップ③】新人育成3項目の目標を「見える化」する
▶ プリセプターミーティング(入社1〜2週間前)
- 目的: 年間&3ヶ月後の具体的な育成ゴールをプリセプターと一緒に設定
- 参加者:管理者、プリセプター
◆新人育成3項目
年間目標
分野 | 目標例 |
---|---|
①通常業務 | 全シフトの独り立ち |
②ご入居者との関わり | 全利用者から顔又は名前を覚えてもらう |
③プロジェクト(委員会)の取り組み | 事故プロジェクトの場合、3ステップに沿って一人で行動することができる (【介護現場】事故が繰り返し起きる理由と減らすための3ステップ)参照 |
3ヶ月後の目標
分野 | 目標例 |
---|---|
①通常業務 | 遅番まで終える |
②ご入居者との関わり | ・1ヶ月でご入居者の顔と名前を覚える。(必須) ・空き時間に利用者と会話ができ要望を聞くことができる |
③プロジェクト(委員会)の取り組み | 毎月1件事故報告書を記入する |
【ステップ④】3者面談で想いを共有する
▶ 配属初日に実施
- 目的:歓迎
- 参加者:管理者・プリセプター・新入職員の3者で面談
- 内容:
ー自己紹介
ー新人の思いを聞く(介護の想いや目標)
ー新人育成3項目の目標を共有し、共通のビジョンを持つ
【ステップ⑤】定期面談で“育成のPDCA”を回す
▶ 振り返りは柔軟に
- 頻度: 月1回が基本だが、必要に応じて随時対応
- 場所: 隙間時間や夜勤帯など、現場に即した運用
- 内容:新人育成3項目の年間目標達成に向けて3ヶ月おきに短期目標を設定する
「仕組み化」が育てる、理念あるリーダー
介護施設において人財育成は単なる“教育”ではありません。それは、理念に共感し、自ら考えて動くスタッフ──“人財”を育てる道です。
その鍵を握るのは、属人化しない仕組みと、スタッフの思いに耳を傾ける風土。
あなたの施設でも、「育てる側を育てる」体制から始めてみませんか?
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