スタッフが動き出す!介護委員会で“ボトムアップ”の仕組みをつくる方法|PJ型チーム運営の実践事例つき

仕組み作り

委員会が動かないのは「仕組み」が原因かもしれません

「委員会を立ち上げたのに、実質ただの報告会になっている」
「やる気のある人だけが動いて、他のスタッフは蚊帳の外」
こんな現場の声、聞いたことありませんか?

介護施設において「委員会」は重要な組織活動の一つですが、トップダウンで形だけ作られた委員会は、なかなか機能しませんその結果、スタッフのモチベーションが下がり、委員会自体が形骸化していくという悪循環に陥ります。

本記事では、プロジェクト(PJ)型の委員会を導入し、ボトムアップの仕組みをつくることで、現場が自ら動き出した実例をご紹介します。

なぜ介護委員会は機能しなくなるのか?

委員会が“報告会”で終わる理由

よくあるパターンは、委員会が月1の「報告をまとめる場」になってしまっているケース。
活動が“やらされ感”で進んでおり、スタッフの当事者意識が育っていません。

  • 会議で意見が出ない
  • 委員会メンバーが固定化している
  • 活動に目的がない

これらの背景には、委員会に“ボトムアップの仕組み”がないという共通点があります。

PJ型でつくる“ボトムアップの委員会仕組み”

委員会は「専門性チーム」として再定義する

私たちの施設では、委員会を「PJ(プロジェクト)型」に見直し、現場の実践に根ざした専門性部隊として再構築しました。
スタッフは関心のあるPJを選び、課題解決型で活動します。

この仕組みにより、現場スタッフが「自分たちが動いて現場を変える」という意識を持ち、行動が変わり始めました。

現場が動き出した!5つのPJ(プロジェクト)実例

人財育成PJ|“ふつうの生活”を支える人を育てる

  • 存在意義: 施設の理念が実現できるスタッフを育てる
  • 目標:新人育成3項目の達成

介護技術PJ|利用者の“できる”を引き出す

  • 存在意義: 残存能力を活かし、ご入居者の困りごとを解決する
  • 目標:
    1. 利用者が困っている事を解決する
    2. 3ヶ月に1回の勉強会開催
      → 自分たちが学び、現場で還元する“技術の自走”がスタート

認知症PJ|「居心地の良い」生活環境をつくる

  • 存在意義: 日々の生活が安定し、感情的な安心感が生まれるような支援
  • 目標:
    1. BPSD(行動・心理症状)の軽減
    2. 生活する環境を整える
      → 環境を変えないことが大原則

事故PJ|QOLを守る“リスクマネジメントチーム”

  • 存在意義: ご入居者の生活の質(QOL)を損なわないケアの追求
  • 目標:
    1. 前年度より事故件数を削減
    2. 「3ステップ」手法の精度を上げる
    3. 危険予知力を高める

居室担当|“暮らし”を支える個別支援の起点

  • 存在意義: 利用者の自分らしく「暮らす」ことをサポートする
  • 目標:
    1. 三大介護の実現(食事・排泄・入浴)
    2. 三大介護以外のニーズへの対応
    3. 利用者個別の希望・目標を叶える

自走するPJ委員会を実現する4つのステップ

① やりたいPJを自分で選ぶ(または強みでアサイン)

やらされるより「やりたい」PJを自ら選ぶことで、主体性が育ちます。
やりたいPJがない場合は、上司が“強み”を見つけて適材適所に配置します。

② PJの「存在意義」をメンバー達で考える

「なぜこのPJが必要なのか?」をメンバーに問い、自分たちで答えを出すことで委員会に“意味”が生まれます
※あらかじめ管理者はすべてのPJの存在意義を明確にしておくことをオススメします。誤った方向にいかせないためです。

③ 年間目標をメンバーで設定する

存在意義を明確にしたら、年間の具体的目標を自分たちで決めます。
上から押しつけるのではなく、現場から上がった課題が出発点になります。
※こちらもあらかじめ管理者はすべてのPJの年間目標を明確にしておくことをオススメします。

④ 具体策を出して、行動にうつす

年間目標達成の為の具体的な取り組みを考えます。

まとめ|ボトムアップの委員会は、現場が主役の施設をつくる

「スタッフが動かない」
「委員会が形骸化している」
その悩みの多くは、“仕組み”を変えるだけで大きく動き出します。

PJ型の委員会運営は、現場の声と力を生かしながら、
理念や目標を“現場主導”で実現するための方法です。

スタッフが「動かされる」のではなく、「動きたくなる」仕組みを作る。
それが、介護委員会をボトムアップで成功させる本質なのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました