【介護リーダー必見】介護職員の個人目標は理念からつくる

チームづくり

「目標を年度はじめに立てないといけないけど、うまく立てられない。苦手。」
と頭を悩ましていませんか?

結論、目標は0から立てる必要はありません。
介護リーダーもその他の介護職も考え方は同じで、会社(事業所)の理念に沿った目標を立てればよいのです。

むしろそうしないと大変なことになります。
例えば、会社の理念が「利用者に寄り添う」だったとしましょう。スタッフ個人の目標が「スタッフ主体の介護をする」だった場合、方向性が違うため、いつまで経っても理念が浸透することはありません。
会社の存在意義がなくなってしまいます。

わたしは介護リーダーとして多くのスタッフと面談をし個人目標を一緒に決めてきました。
0から目標を作れるスタッフは、施設全体で1割ぐらいの感覚です。
本来、目標は達成できたときのことをイメージすると、ワクワクするものです。
だから、大変な出来事でも乗り越えようとします。ただ、とりあえず会社に言われたから目標を決めているスタッフが多いです。わたしもその一人でした。
では、どうしたのか?
会社の理念に基づき、どのような現場をつくりたいのかを決めそれを達成するための目標を作っていきました。
また部下には、自分で目標を決められるよう、面談にこだわりました。
結果、他人が決めた目標でなく自分で目標をつくるスタッフが増えていき施設が同じ方向を向いて介護ができるようになりました。

この記事では、介護リーダーの目標の立て方と面談でどのような工夫を行えばスタッフ一人一人が自ら考えて目標を立てられるようになるのかお伝えします。

この記事を読むと、「理念に沿った個人目標」を一緒に作る具体的な手順がわかります。

結論、目標は「0から自分で考えるもの」ではなく、会社の理念から決めるものです。
理念に沿って理想の現場を言語化し、そこから逆算して目標を立てれば迷いません。
介護リーダーは答えを与えるのではなく、スタッフが理念とつながる目標に気づけるよう支援することが大切です。

個人目標が必要な理由

「正直、個人目標って必要?」
そう感じている介護職員やリーダーは少なくありません。
日々の業務に追われる中で、目標は「提出するためのもの」「評価のためのもの」になりがちです。

しかし、個人目標がない現場ほど、介護はブレやすくなります。

理由① 理念が現場に落ちなくなるから

多くの事業所には理念があります。
しかし、個人目標がなければ、理念は「壁に貼ってある言葉」で終わります。

理念 → 個人目標 → 日々の行動
このつながりがあって、初めて理念は現場で生きます。

個人目標は、理念を自分の言葉に翻訳する作業です。

理由② 成長を実感できなくなるから

目標がないと、
「去年より成長しているのか」
「自分は何ができるようになったのか」
が分かりません。

頑張っているのに手応えがなく、
「この仕事、意味あるのかな…」
と感じてしまう原因にもなります。

個人目標があることで、
できるようになったことを自分で確認できるようになります。

理由③ 評価や面談が形だけになるから

個人目標が曖昧だと、面談では
「特に問題ないですね」
「これからも頑張りましょう」
で終わってしまいます。

それでは、育成にもモチベーションにもつながりません。

個人目標があると、
・何ができたか
・何が難しかったか
・次に何を目指すか

を具体的に話せるようになります。

理由④ 「やらされ感」を減らすため

会社から与えられた目標は、どうしても「やらされ感」が出ます。
一方で、自分で考えた個人目標は、
多少大変でも「自分で決めたこと」だから向き合えます。

章のまとめ

個人目標は、管理のためではなく、
自分の介護を自分で選ぶためのものです。

個人目標が必要なのは、
評価のためでも、書類を埋めるためでもありません。

  • 行動に迷わないため
  • 理念を現場で実現するため
  • 自分の成長を実感するため

そのために、個人目標は必要です。

リーダーの目標の立て方

①会社の理念を確認する

会社の理念を聞かれてすぐに答えられますか?

意外と答えられる人は少ないのではないでしょうか。
わたしの場合、「利用者に寄り添った介護」を理念にする会社で働いてきました。

わからない方は、会社のホームページを見ると、たいてい記載されているので確認してみましょう。
書いていない場合は、上司に確認です。

②どのような現場をつくりたいのか考える

理念から介護リーダーとしてどのような現場を作りたいかを考えます。

わたしの場合、「利用者に寄り添う」とはどういうことか?がわかりませんでした。
理念から読み取れない場合は、行動指針などを参考にします。
上司にも確認した結果、
「本人の能力を活かしながら、誰の助けも借りずにできていた生活(自立した生活)に近づけること
と解釈しました。

③個人目標設定をする

つくりたい現場が決まったら次に、目標設定です。

「本人の能力を活かしながら、誰の助けも借りずにできていた生活(自立した生活)に近づける」ために現場で何をしていくのかを決めます。

わたしの場合
1.3大介護の実現
2.認知症ケアと終末期ケア
3.1と2を実現させるための仕組みづくり

この3つが個人目標です。
個人目標が完成したら、実際に行動に移していきます。
何から手を付けていくのか?
5W1Hをもとに具体的にしていきます。

ここまでできれば、介護リーダーとして個人目標作成は終了です。

なぜこのような目標を立てたのか理由が気になる方は以下の記事を参考にしてください▼

章のまとめ

介護リーダーの目標は、「0からひねり出すもの」でも「会社に言われたから作るもの」でもありません。

すべての出発点は、会社(事業所)の理念です。

理念を確認し、「自分はこの理念を、現場でどう実現したいのか」を言語化することで、目標の軸がブレなくなります。

そして大切なのは、

  • 理念 → つくりたい現場
  • つくりたい現場 → 個人目標
  • 個人目標 → 具体的な行動

この順番で考えることです。

理念を飛ばして目標を立てると、
・方向性がズレる
・達成しても手応えがない
・スタッフに伝わらない

といった問題が起こりやすくなります。

一方で、理念とつながった目標は、「なぜこれをやるのか」が明確になるため、
大変な場面でも立ち返る指針になります。

また、目標は立てて終わりではありません
5W1Hで具体化し、日々の行動に落とし込むことで、初めて「生きた目標」になります。

介護リーダーとしての目標設定とは、自分の評価を上げるためのものではなく、
理念を現場で実現するための設計図を描くことです。

部下との面談

面談を行う前に、良い面談と悪い面談を知っておきましょう。

【良い面談とは】
・スタッフが「話したいことを話せた」「聞いてもらえた」と感じる面談。
・一方的ではなく、双方向の考えを共有できる。

【悪い面談とは】
・リーダーが一方的に話すばかりでスタッフが受け身となり「なんだかよくわからなかった」という気持ちにさせる面談。

①自分の考えを伝える

つくりたい現場とそのための個人目標を伝えます。
「あなたたちのリーダーの目指している場所はここだよ!」を示します。

わたしの場合どう伝えるのか?
『会社理念の「利用者に寄り添った介護」を形にするため、どのような施設をつくればいいのか考えました。「利用者に寄り添う」とはどういうことか?上司などいろいろな意見を参考に「本人の能力を活かしながら、誰の助けも借りずにできていた生活(自立した生活)に近づける介護」と解釈し介護リーダーとして実現したいと考えています。そのために、3つのことを目標に取り組んでいきます。1.3大介護の実現2.認知症ケアと終末期ケア3.1と2を実現させるための仕組みづくりです。具体的な取り組みが〜』と続いていきます。

②相手の考えを知る

次に、相手の介護に対する考えを共有してもらいます。

質問することは2つ
1.どんな介護がやりたいか?
2.どんな介護はやりたくないか?

答えられない人が多いと思います。
普段のケアを無意識にやっていて言語化出来ていないことも影響しています。
悪いわけではありません。そこを言語化することが面談の目的です。

面談をしていると色々な考えのスタッフがいることがわかってきます。
わたしの経験上4つのパターンに分かれます。

4つのパターン
1.介護職として軸を持っている人(やりたい介護・やりたくない介護が明確)
2.特に何も考えず介護職をやっている人(言われたことはやる/深く考えたことがない)
3.理念とズレた軸を持っている人(「自分なりの介護」はあるが、方向性が違う)
4.介護の仕事に迷いを感じている人(向いていないのではなく「合っている実感が持てない」)

1.介護職として軸を持っている人(やりたい介護・やりたくない介護が明確)

自分なりの介護観があり、
「何を大切にしたいか」「何はしたくないか」を言葉にできます。
目標設定も比較的スムーズで、理念とも結びつけやすいタイプです。

2.特に何も考えず介護職をやっている人(言われたことはやる/深く考えたことがない)

悪気はなく、指示されたことはきちんとこなします。
ただ、「どんな介護をしたいか」と聞かれると答えに詰まります。

現場で最も多いのがこのタイプで、面談や関わり方次第で1に育つ可能性があります。

3. 理念とズレた軸を持っている人(「自分なりの介護」はあるが、方向性が違う)

介護観はあるものの、会社や事業所の理念と噛み合っていないタイプです。

本人は一生懸命でも、放置すると現場の方向性がバラバラになりやすいため、理念を共通言語にした関わりが必要になります。

4. 介護の仕事に迷いを感じている人(向いていないのではなく「合っている実感が持てない」)

「自分は介護に向いていないのではないか」
「このまま続けていいのかわからない」

そんな不安を抱えながら働いているタイプです。
能力ややる気の問題ではなく、成功体験や承認が不足しているケースも少なくありません。

このタイプに強い目標を求めすぎると、離職につながるリスクがあります。

③一緒に目標を決める

ここまでで、

・リーダーとしての考えを伝え
・相手の介護に対する考えを知る

この2つが共有できました。
ここからが、面談の本題です。

目標は一人で考えさせるものでも、リーダーが決めるものでもありません。
その人の状態に合わせて、「一緒に言葉にしていく」ことが大切です。

4つのパターンごとに、目標の決め方と関わり方は変わります。

1.介護職として軸を持っている人の場合

このタイプは、すでに「やりたい介護」があります。
そのため、目標設定は比較的スムーズです。

ここでリーダーが意識するのは、その介護観を理念とどうつなげるかです。

たとえば、

「その考えは、会社の理念でいうとどこに当てはまると思う?」
「それを現場で形にするとしたら、何から始める?」

と問いかけます。

このタイプには、
・役割を持たせる
・少し背伸びした目標を設定する

ことで、成長とやりがいにつながります。

2.特に何も考えず介護職をやっている人の場合

このタイプに、
「じゃあ目標を書いてみよう」
といきなり求めるのは逆効果です。

まずは、日々の行動を振り返ることから始めます。

・最近、うまくいった介助は?
・利用者さんに感謝されたことは?
・大変だったけど工夫したことは?

本人は「普通にやっただけ」と言いますが、話を聞いていくと必ず大切にしている視点があります。
それをリーダーが言葉にします。

「それって、“利用者のペースを大事にしている”ってことだよね」

そこから理念とつなげ、小さく・具体的な目標に落とし込みます。

このタイプは、
目標を通して「考える介護」に気づいていく人です。

3. 理念とズレた軸を持っている人の場合

このタイプは、一番対応が難しいかもしれません。

大切なのは、否定しないが、そのまま認めないことです。

まずはしっかり話を聞きます。
そのうえで、軸を「理念」に戻します。

・その介護は、うちの理念ではどう表現できると思う?
・利用者にとって、どんな意味があるかな?

「あなたの考えが間違っている」ではなく、
「この事業所の理念の中でどう活かすか」
という問いかけをします。

それでも折り合いがつかない場合、目標以前に価値観のズレが見えてくることもあります。
それを確認することも、面談の重要な役割です。

4.介護の仕事に迷いを感じている人の場合

このタイプに、高い目標や成長を求めすぎてはいけません。

まずは、できていること・続けられていることを一緒に確認します。

・毎日休まず出勤している
・利用者との関係を大切にしている
・困ったときに相談できている

目標は、
「頑張るため」ではなく「安心して働くため」のものにします。

たとえば、
・〇〇の介助を一人で落ち着いて行えるようになる
・困ったときに相談できる先をはっきりさせる

このタイプにとって、
目標は自分を追い込むものではなく、前に進むための支えである必要があります。

章のまとめ

目標設定で大切なのは、「正しい目標」を作ることではありません。

・その人の言葉で
・理念とつながり
・納得して向き合える目標

になっているかどうかです。

目標が書けないのは、能力の問題ではありません。関わり方が合っていないだけです。

介護リーダーは、答えを与える存在ではなく、
スタッフが自分の目標に気づくのを支援する存在です。

理念という軸を示し、対話を通して方向を整える。

それが、施設全体が同じ方向を向いて介護をするための目標設定と面談です。

まとめ:理念から目標をつくることが、現場を動かす

介護の個人目標は、0から考えるものではありません。
会社(事業所)の理念を出発点にし、つくりたい現場を言語化し、そこから逆算して決めるものです。

目標がうまく機能しないのは、スタッフのやる気や能力の問題ではありません。
理念と切り離された目標になっていること、そして一人ひとりの状態に合わない関わり方をしていることが原因です。

だからこそ介護リーダーに求められるのは、答えを与えることではなく、
対話を通してスタッフが「理念とつながる自分の目標」に気づけるよう支援することです。

まずは、あなた自身の目標を
「理念からつくりたい現場 → 目標 → 行動」
の順で見直してみてください。
そして次に面談では、
「どんな介護がやりたいか」「どんな介護はやりたくないか」
この2つを聞くところから始めてみましょう。

理念とつながった目標は、行動を迷わせず、現場を同じ方向へ導きます。

この記事を参考に、
“提出するための目標”から“現場を動かす目標”へ
今日から一歩踏み出してみてください。

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