毎月の会議で「何を話せばいいかわからない」「ネタが尽きてきた」と悩む介護リーダーはいませんか?
実は私も、現場でリーダーをしている中で同じ悩みを抱えていました。全体会議・リーダー会議・チーム会議・プロジェクト会議と複数の会議があるのに、毎回「何を話せばいいのか」「どの会議で何を報告すればいいのか」が分からず、頭を悩ませていたのです。
そこで考えたのが、会議ごとに話す内容や決めることをまとめた「レジュメ」です。
事前に「今回の会議で何を話し、何を決めるのか」を整理することで、会議の目的・順番・ゴールが明確になり、毎回ゼロからネタを考える必要がなくなりました。
※レジュメとは、話す内容・考え・資料の要点を短く整理したまとめのことです。
この方法を使うと、会議ネタに悩む時間が減り、会議時間も短縮、議論の質も向上します。スタッフにも「何のための会議なのか」が伝わるようになり、会議が“やらされ仕事”ではなく“現場を動かす時間”に変わります。
この記事では、全体会議・リーダー会議・チーム会議・プロジェクト会議それぞれの目的を整理し、レジュメの作り方と考え方を、現場経験をもとに解説します。
※施設によって会議の呼び方は違うと思いますが、目的や役割はどの施設でも共通している部分が多いため、ご自身の施設の会議に置き換えて読み進めてみてください。
この記事を読むと、「また会議か。」というストレスが減り、会議が“やらされ仕事”から“現場を動かす時間”に変わります。
結論、会議ごとの目的を明確にし、それに合ったレジュメを用意することが、毎月の会議ネタの悩みをなくし、会議を意味のある時間に変える最もシンプルで確実な方法です。
各会議の目的とレジュメ
全体会議:施設方針・収支の共有

主催者:管理者(施設長)
全体会議は、施設全体の方向性を共有するための会議です。
現場の細かな判断や個別ケースを話し合う場ではありません。
主な目的は、
・施設の方針や理念の再確
例:「今年度は“自立支援の強化”を重点目標とする」「過去の事故報告を振り返り、再発防止の共通認識を持つ」
・収支状況や経営に関わる情報共有
例:「稼働率が◯%まで下がっている」「人件費が増えているため残業削減が必要」「来期に向けて加算取得を目指している」
といったように、「施設として今どこに向かっているのか」「なぜ今この取り組みをしているのか」を、職員全体で共有し、方向性を揃えることです。
全体会議の主催者は管理者(施設長)であり、
決定事項を議論する場というよりも、決まった方針や方向性を“伝える・共有する”場と考えると分かりやすくなります。
レジュメの基本構成
会議名:全体会議
日付・時間・場所:______
主催者:管理者(施設長)
司会:______
タイムキーパー:______
議事録担当:______
参加者:______
| 時間 | 議題 | 内容・ポイント | 確認/意見 | 担当者 |
|---|---|---|---|---|
| 10:00〜10:30 | 施設方針・理念の確認 | 今年度の重点目標、事故報告の振り返り | 質問・コメント | 管理者(施設長) |
| 10:30〜11:00 | 収支状況報告 | 稼働率、人件費、加算取得計画 | 質問・確認 | 管理者(施設長) |
| 11:00〜11:30 | 質疑応答・確認事項 | 参加者の意見・疑問を整理 | 追加質問・共有事項 | 司会 |
確認事項・次回までの課題
- ________________________
- ________________________
メモ・自由記入欄
- ________________________
- ________________________
リーダー会議:仕組みづくり・業務改善

主催者:統括リーダー または チームリーダー
リーダー会議は、現場をより良くするための「考える会議」です。
全体会議で共有された方針を、どう現場に落とし込むかを話し合う場でもあります。
主なテーマは、
①現場で起きている課題の整理と分析
例:「クレームが同じ内容で複数回発生している」「申し送り漏れによる対応ミスが繰り返し起きている」
②課題に対する改善策の検討
例:「繰り返し発生しているクレーム内容を整理し、対応方法や説明の仕方を施設として統一する」「申し送り内容をチェックリスト化する」
③業務の仕組みづくりや見直し
例:「クレームや申し送りミスが起きにくいように、対応手順や説明方法をマニュアル化する」「申し送り内容やチェックリストの運用を見直し、スタッフ全員が正確に情報を引き継げる仕組みを整える」
といったように、現場の事実をもとに課題を整理し、仕組みや対応をどう変えるかを判断することです。
この会議で重要なのは、
「起きている事実」だけで終わらせないことです。
・なぜ起きているのか
・仕組みの問題なのか
・個人の問題なのか
といった視点で整理し、再発防止や改善につなげることが求められます。
レジュメの基本構成
会議名:リーダー会議
日付・時間・場所:______
主催者:統括リーダー または チームリーダー
司会:______
タイムキーパー:______
議事録担当:______
参加者:______
| 時間 | 議題 | 内容・ポイント | 確認/意見 | 担当者 |
|---|---|---|---|---|
| 10:00〜10:20 | 現場で起きている課題の整理と分析 | クレームやミスの事例整理、繰り返し発生している問題の確認 | 意見・補足 | 参加者全員 |
| 10:20〜10:50 | 課題に対する改善策の検討 | 対応方法や手順の統一、チェックリスト作成など | 意見・承認 | 参加者全員 |
| 10:50〜11:20 | 業務の仕組みづくりや見直し | 入浴介助や夜勤業務の手順整理、業務分担の調整 | 意見・承認 | 参加者全員 |
| 11:20〜11:30 | 次回までの課題・決定事項確認 | 誰が何を実行するか、期限の確認 | 全員で確認 | 司会 |
確認事項・次回までの課題
- ________________________
- ________________________
メモ・自由記入欄
- ________________________
- ________________________
チーム会議:利用者の個別ケアの共有

主催者:チームリーダー
チーム会議は、利用者一人ひとりの状態や関わり方を共有し、個別ケアの質を高めるための会議です。
施設全体の方針や経営の話をする場ではなく、日々のケアに直結する内容を話し合います。
主なテーマは、
・利用者の思いや状態変化や生活状況の共有
例:「外食したいと言っている」「夜間の覚醒が増えている」
・個別ケアの方向性を揃える
例:「事前に行き先やメニューを本人と一緒に確認し、安心して参加できるよう支援する」「不安が強い時間帯は、対応する職員を固定する」
・ケアの工夫や対応結果の共有
例:「食後に『おいしかった』『また行きたい』と話され、会話が増えた」「環境を調整したことで落ち着いて過ごせる時間が増えた」
といったように、利用者の状態や希望を共有し、チームで対応方法を揃え、実施したケアの結果を確認することで、個別ケアの質を高めることがチーム会議の目的です。
こうすることで、職員間の対応にばらつきがなくなり、利用者が安心して過ごせる環境をチーム全体で作ることができます。
レジュメの基本構成
会議名: チーム会議
日付・時間・場所: ______
主催者: チームリーダー
司会: ______
タイムキーパー: ______
議事録担当: ______
参加者: ______
| 時間 | 議題 | 内容・ポイント | 確認/意見 | 担当者 |
|---|---|---|---|---|
| 10:00〜10:15 | 利用者の思いや状態変化・生活状況の共有 | 「外食したい」「夜間の覚醒が増えている」など、状態・希望を共有 | 意見・補足 | 居室担当者 いなければ、参加者全員 |
| 10:15〜10:35 | 個別ケアの方向性を揃える | 行き先や対応方法の確認、担当者固定など、ケアの統一 | 意見・承認 | 居室担当者 いなければ、参加者全員参加者全員 |
| 10:35〜10:50 | ケアの工夫や対応結果の共有 | 食後の反応や環境調整の効果などを報告 | 意見・補足 | 居室担当者 いなければ、参加者全員 |
| 10:50〜11:00 | 次回までの課題・決定事項確認 | ケアの実施方法、担当者・期限を確認 | 全員で確認 | 司会 |
確認事項・次回までの課題
- ________________________
- ________________________
メモ・自由記入欄
- ________________________
- ________________________
利用者について話し合う時、スタッフ目線の問題点ばかりが議題にあがります。例えば「下肢筋力が低下してきた」「むせこみが増えてきた」などです。悪いことではありませんが、それだけでは利用者の希望や生活意欲につながりにくいという課題があります。そのため、利用者視点も取り入れることが重要です。例えば、「近所のカフェに行きたい」「昔よく行った公園を散歩したい」など。
利用者視点を加えることで、単なる身体的な課題やリスク管理だけでなく、生活の質(QOL)を高めるケアにつなげることができます。
プロジェクト会議:専門性を高める

主催者:プロジェクトリーダー
プロジェクト会議は、特定の課題やテーマに対して専門性を高め、改善策や新しい取り組みを検討するための会議です。
施設全体の方針や経営の話をする場ではなく、プロジェクトの目的に沿った議論に集中します。
主なテーマは、
・専門的課題の整理と分析
例:「転倒予防の新しい評価方法を試行する」「認知症ケアにおける行動パターンを分析する」
・改善策や取り組みの検討・実施計画の策定
例:「歩行や移動が不安な利用者には、歩行補助具や靴の選定を徹底する」「排泄ケアの記録方法を統一するための計画を立てる」
・実施後の効果検証やフィードバックの共有
例:「移動時の安心感が高まり、利用者の歩行意欲が向上した」「記録方法を変更したことで情報共有がスムーズになった」
といったように、
課題の整理・改善策の検討・実施・効果検証の一連の流れをチームで共有することで、専門性の高いケアの質を向上させることがプロジェクト会議の目的です。
これにより、単なる情報共有にとどまらず、実践的な改善が現場に反映され、利用者にとって安全で質の高いケアを提供できる体制を整えることができます。
レジュメの基本構成
会議名: プロジェクト会議
日付・時間・場所: ______
主催者: プロジェクトリーダー
司会: ______
タイムキーパー: ______
議事録担当: ______
参加者: ______
| 時間 | 議題 | 内容・ポイント | 確認/意見 | 担当者 |
|---|---|---|---|---|
| 10:00〜10:20 | 専門的課題の整理と分析 | 転倒予防や認知症ケアの行動パターンなど、課題をデータや事例で整理 | 意見・補足 | 参加者全員 |
| 10:20〜10:50 | 改善策や取り組みの検討・実施計画の策定 | 歩行補助具の選定、排泄ケアの記録方法統一など、計画を立てる | 意見・承認 | 参加者全員 |
| 10:50〜11:20 | 実施後の効果検証やフィードバックの共有 | ケアの実施結果や利用者の反応を共有し、改善点を検討 | 意見・補足 | 参加者全員 |
| 11:20〜11:30 | 次回までの課題・決定事項確認 | 誰が何をいつまでに実施するか、次回会議での確認事項を整理 | 全員で確認 | 司会 |
確認事項・次回までの課題
- ________________________
- ________________________
メモ・自由記入欄
- ________________________
- ________________________
施設に専門チームをつくる!?介護技術、認知症ケアに強いスタッフを施設に増やす方法とは?▼
施設全体に専門性を広げる!専門チームマネジメントの進め方
まとめ:会議ネタに困らない介護リーダーの秘訣
毎月の会議で「何を話せばいいかわからない」と悩む必要はありません。会議ごとの目的を整理し、話す内容や決めることをまとめたレジュメを用意するだけで、会議はスムーズで意味のある時間に変わります。
利用者の希望や生活の視点も取り入れると、身体的な課題だけでなく、生活の質(QOL)につながるケアをチームで考えられます。レジュメを作ることで、会議の時間も短くなり、議論の方向性もブレません。「誰が何をいつまでにやるか」が明確になるため、現場での行動につなげやすくなります。
まずは、この記事の例を参考に、次回の会議用にレジュメを1枚作ってみましょう。話す内容と決定事項を整理するだけで、会議は“やらされ仕事”から“現場を動かす時間”に変わります。
介護リーダーの悩みはコレを読めば8割解決できる!?▼
【介護リーダー必見】リーダー職へのロードマップ|役割と成長のステップ


コメント