事故が繰り返し起きてしまう。どうすれば、減るの??

TOP

「同じ事故が起きすぎて対応方法がわかりません。」「ご家族に何度も連絡することが申し訳ない。」と思ったことありませんか?
すごくわかります!
現場が忙しい中、事故が発生すると緊急対応や事故報告書作成に時間が取られ、やりたかったことが進まない。他利用者にも影響が出る。そして、事故当事者の辛い顔を見ることになる。とマイナスの事が多いです。
そこで実際、現場で取り組んできた3STEPについてご紹介したいと思います。
事故再発防止率が下がる取り組みです!
是非、ご覧ください!!

事故とは

事故と聞くと、「警察が出てくるの?」「逮捕されるの?」とイメージしてしまうかもしれませんが、実際逮捕される事例は少ないです。(※内容によって逮捕されるものもあります)介護の世界では日常的に使う言葉です。施設等で実際に起きる事故とは、転倒や誤配、盗食等ではないでしょうか。
これらの事故が発生した際、報告書を挙げますが会社によって、共有のみで終える時もあります。

事故報告書を挙げる理由

始末書と勘違いしている方がいますが、それは違います。
本来の目的は、

1.事故の再発防止
2.介護サービスの質の向上
3.透明性と説明責任の確保
4.職員間の情報共有
5.法的リスクへの備え

の為です。
会社によって報告書を挙げるかどうかの基準は違いますが、行政に報告書を挙げる事故内容は決まっています。以下の7つです。
1.死亡事故
2.医師の治療が必要な事故 ※診断を受け、投薬や処置などの治療が必要となった場合
3.食中毒や感染症の発生
4.職員の法令違反や不祥事
5.火災事故
6.設備不良による健康被害の恐れ
7.離設・行方
自治体によって多少の違いはあります。

今回は、事故の再発防止についてお話させてもらいます。

STEP1 原因を見つける

事故が繰り返し起こる要因は

原因の分析が甘いからです。

事故に対し「なぜ起きたのか?」を繰り返し考えていく必要があります。

事務所内で、「○○が理由かな。」と推測で話するのではなく、事故現場に行きその時の状況を再現してみます。より鮮明に原因が見えてきます。

対策は原因によって決まります。原因の分析ができていないと、再発防止はできないという事です。

原因には①直接的②根本的にわけることができます。

直接的原因:問題が発生した際、目に見える具体的な要因
根本的原因:直接的原因を引き起こした背景や根本的な仕組み

また、原因は色々な視点から考える必要があります。
おすすめはスタッフ、本人、環境から考える事です。

具体例
食堂にて独歩禁止の認知症の方が、スタッフが目を逸らした瞬間に転倒していた

スタッフ
(直接)目を逸らしてしまった      (根本)他利用者に呼ばれた
本人  
(直接)一人で歩いてしまった      (根本)認知症がある
環境  
(直接)転倒された方の食席がスタッフから遠く見えにくい場所にある
(根本)一人では立ち上がらないだろうと思い込みどこでもいいと考えていた

このように原因をわけて考えます。
直接的原因に「なぜ?」と問いかけていきます。5回程「なぜ?」を繰り返しましょう。

根本的原因の見つけ方がわからない場合は、

因果関係が逆も成り立つか?を考えます。

根本的要因を探す際は「なぜ?」を唱えていきますが、反対から「だから、〜だ」で無理なく遡る事ができれば逆の因果関係が成り立つことになります。

例えば、
「目を逸らしてしまった。」→なぜ?→「他利用者に呼ばれた。」
「他利用者に呼ばれた。」→だから→「目を逸らしてしまった。」


直接的原因が解決しても現状の回復にしかならず、問題が再発する可能性が大きいです。よって、再発防止には根本的要因に対策を打つ必要があります。
事故報告書に記載する際、根本的原因のみを書くだけでもいいですが、上記のように直接的原因も記載されていれば繋がりが見えてきます。他のスタッフも見るものなので両方記載するほうが良いでしょう。

STEP2 対策を決める

次に対策を決めます。
大切な事は、根本的原因に対策を打つ事です。
上記の具体例をもとに考えてみます。

スタッフ
原因:他利用者に呼ばれたから
対策:①毎食時、食堂担当のスタッフは危険度が高い利用者を優先的に対応する
②食堂に2名スタッフが配置出来るように、本日フロア責任者が業務プログラムを作り直す

本人
原因:認知症がある
対策:①立ち上がった理由を3日間本人にその場で聞き記録に残す。最終日にフロア責任者が分析する。
立ち上がれないように、椅子の後ろに机を配置したり薬を増やしたりすることはNG。本人の言動には、意味があります。お手洗いへ行きたかったのか、腰が痛いのか等詳細を確認します。STEP1原因の分析で理由がわかっているのであれば、そこに対策を打ちましょう。
例)食後トイレに行くために立ち上がる→食事が終わったか確認しやすくする為、食席をスタッフが見える場所に変更し食後直ぐにトイレへお連れする。

環境
原因:一人では立ち上がらないだろうと思い込み、どこでもいいと考えていた。
対策:1ヶ月かけて全スタッフに危険予知訓練をする。主催者:管理者
※危険予知訓練とは、利用者のADLをもとにどのようなリスクがあるのか仮説を立て未然に事故やヒヤリハットを防ぐ訓練です。
進め方参考:https://kaigo-labo.com/news_438.html

対策を立てる際、気をつける事はできるだけ「誰が、いつ、何を、どこで、どのように」まで記載し具体的にすることです。でなければ、誰が実行するのかわからず対策を挙げて終わり。になってしまいます。立てた対策は、日々徹底して行い、記録に残しましょう。振り返りの際、見返す為です。

STEP3 振り返りをする

対策を実行して終わりではありません。振り返りが大切です。
対策を始めて、1週間経った頃事故が再発していないか確認します。
再発していなければ、原因の分析が正しかったということになります。ただ、再発していれば原因の分析が甘かった(根本的原因まで突き詰められていなかった)ということです。再度、原因を考える必要が出てきます。

仕組み作り

STEP1から3を順に行っていくことにより、事故再発防止に大きく近づきます。
ただ、仕組み化できていなければ一時的となり、そのうちSTEP1から3の取り組みは自然消滅してしまいます。
仕組み化する為には、まずあなたが行動に移さなければなりません。

【具体例】
STEP1:原因を見つける
事故が起きたら、事務所メンバー含め数名現場に呼び現場検証を行います。
複数名いたほうが原因の視点が異なり効果的です。
STEP2:対策を決める
現場検証時に対策を決めます。
ここで、原因と対策を決めておくと的を得た対策になりやすいです。また事故報告書を書く際一人で考える必要がなくスラスラと書けます。
対策を実施した記録を残せるように、ノートを準備しましょう。SNSを活用していれば、使用しましょう。
STEP3:振り返り
振り返りをする場を作ります。例えば申し送りの後、10分間事故カンファレンスをする等。おすすめは毎日同じ時間に行う事です。事故対策の振り返りは、毎日行った方が効果があります。なぜなら、対策が誤っている場合、都度変更出来るからです。

まとめ

事故再発防止のためには、原因の分析が1番重要です。
ここが甘いと同じ事故は繰り返し行われます。一人ひとりが自分で原因を考えられるようになってくると事故は減ってきます。ただ、人間を相手にしているため予期せぬことが起こります。矛盾しているかもしれませんが、何度も繰り返し事故が起きている方は、事故件数0にする事を目標にするのではなく、1つでも減らす事を目標にした方が良い時もあります。「頑張って対策したのに、また転んだ」と取り組んでいる方たちのモチベーションが低下することになります。「先月より1件減った」とわかれば、気持ちが前向きになる可能性があります。その辺は、臨機応変に対応していくことをおすすめします。

介護現場でも使える本です
興味がある方、是非一度読んでみてください!


コメント

タイトルとURLをコピーしました