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介護の申し送りがうまくいかない原因はこれ!正しく伝わるコツと仕組みを解説

現場実践

「施設の申し送りがうまくいっていない」「内容が薄い」と感じていませんか?

実は、特別なスキルがなくても、仕組みを整えるだけで申し送りの質は大きく改善できます。

なぜなら、多くの現場では「いつ・どこで・誰が・何を・どうやって伝えるか」が曖昧なまま運用されているからです。

私はこれまで介護リーダーとして、申し送りの改善に取り組み、「聞いていない」「伝わっていない」といったトラブルを大幅に減らしてきました。

この記事では、申し送りを改善するための「4つのポイント」と「具体的なやり方」をリーダー視点で解説します。

この記事を読むと、誰でも実践できる申し送り改善の方法が分かり、情報共有の質が上がり、現場の負担を減らすことができます。

結論、申し送りはセンスではなく「仕組み」で決まるということです。

申し送りとは?

申し送りとは、利用者の状態や出来事に関する情報を収集・共有し、必要に応じて今後の対応を検討する場です。

単なる「情報伝達」ではなく、
・何が起きているのかを正しく把握する
・その情報をチームで共有する
・必要であれば対応を考える

という3つの役割を持っています。

たとえば、
「A様は14時からデイサービスです」といった共有だけで完結する内容もあれば、
「食形態を上げたが食事量が低下している」といったように、今後の対応を検討すべき内容もあります。

しかし実際の現場では、共有だけで終わり、「で、どうするのか?」まで踏み込めていないケースも少なくありません。

本来の申し送りは、情報をつなぐだけでなく、ケアの質を高めるための重要な仕組みです。

申し送りの質は「情報量」で決まる

申し送りの質を左右する最大のポイントは、どれだけ適切な情報が集まっているかです。

どれだけ話し方や形式を工夫しても、もともとの情報が不足していれば、内容の薄い申し送りになってしまいます。

たとえば、
「A様いつもと変わりありません」という申し送りは、一見問題ないように見えますが、
・食事量は本当に安定しているのか
・排泄状況に変化はないのか
・認知症の症状に揺れはないのか

といった具体的な情報がなければ、受け手は正しく判断できません。

つまり、申し送りはその場で作られるものではなく、日々の観察と記録の積み重ねで質が決まるということです。

だからこそ、現場では「何を見て、何を記録するのか」を明確にしておく必要があります。
これが整理されてはじめて、共有や検討の質が高まります。

仕組みがなければ申し送りはうまくいかない

申し送りを改善するうえで大前提となるのは、個人の力量に頼らず、仕組みとして運用されていることです。

どれだけ意識の高い職員がいても、
・時間がバラバラ
・場所が決まっていない
・伝える内容が曖昧

といった状態では、安定した申し送りは成立しません。

現場でよくあるのが、
「できる人はしっかり伝えるが、できない人は伝えられない」
という属人化です。

この状態では、情報の質にバラつきが生まれ、
結果として「聞いていない」「伝わっていない」といったトラブルにつながります。

申し送りは、誰がやっても一定の質になるように整えるものです。

そのためには、
「いつ・どこで・誰が・何を・どうやって伝えるのか」を明確にし、
現場で迷わず実践できる状態を作ることが必要です。

申し送りを改善する4つのポイント

申し送りを改善するためには、「いつ・どこで・誰が・何を伝えるのか」を明確にすることが重要です。
ここでは、リーダーが押さえるべきポイントを解説します。

時間の確保

申し送りはシフトが入れ替わるタイミングで行います。
それぞれ時間が確保できているか振り返ってみましょう。

例:
夜勤明け➜日勤リーダー➜夜勤入り
日勤リーダー➜その他の出勤者(早番、遅番、登録スタッフなど)

➜のところが入れ替わるタイミングです。

リーダー視点

・1回の申し送りの時間が10分〜15分。
・パソコンでの申し送りをしているところがあるかもしれないが対面にこだわる。
口頭で伝えるほうが、表情・声のトーン・ニュアンスが伝わりやすく、情報のズレや誤解が起きにくい。

場所の確保

フロア、事務所、会議室など様々です。
一同に多くの多職種が集まる場合は、事務所。
介護職のみの場合は、フロア。
のようにどこで行うのか明確にします。

リーダー視点

・申し送りには個人情報が含まれます。お通じが何日出ていないなど、他人に聞かれて嫌な思いをする情報が多くあることを把握したうえで場所を決める。声の大きさにも配慮が必要。

参加者を決める

介護施設には、介護職員だけではなく、看護職員・言語聴覚士・理学療法士・作業療法士・相談員・ケアマネジャー・施設長など様々な職種が働いています。皆、専門性があります。それぞれの視点から申し送りができます。

リーダー視点

①介護職員・看護職員・施設長での送りをしているところは多い。出来ていないところは、まず3職種参加から始める。
②①ができるようになったら、徐々に多職種を交えていく。

◆実例まとめ

課題:日勤リーダーが不在で情報がつながらない
当時の施設には 日勤リーダーが存在せず、
夜勤明けの申し送りを事務所にて早番・日勤スタッフが聞く形になっていました。

夜勤明け → 早番・日勤へは伝わる
しかし、早番・日勤 → 遅番・夜勤入りへの伝達者がいない。

という状態で、情報が途中で途切れるのが大きな問題でした。

その結果、
「夜勤入りスタッフが大事な情報を知らない」
「遅番だけ状態変化を把握していない」
など、現場にミスや認識違いが生まれていました。

改善策:“日勤リーダー”を設置した
申し送りをスムーズにするには、誰が受け取り、誰に伝えるのかを明確にする必要がありました。
そこで、まずは 日勤リーダーを設置。
本来日勤リーダー業務は幅が広いですが、最初は役割を1つに絞り、
夜勤明けの申し送りを確実に受け取る
その内容を、遅番・夜勤入りへ的確に伝える
この2点だけを担当してもらいました。

成果:遅番・夜勤入りへの情報伝達が安定した
それまでは事務所で多職種との申し送りはできていたものの、
フロアの介護職同士では申し送りが成立していませんでした。

日勤リーダーを置いたことで、
遅番スタッフへの申し送りが毎日確実に実施。
夜勤入りへの伝達漏れが解消。
シフト間の情報共有がスムーズになり、トラブルが激減。

◆ポイント
「申し送りは誰が受けて誰が伝えるのか」役割を決めるだけで、シフト間の情報の流れが劇的に良くなる
といった改善が生まれました。

内容決める

申し送りで大切なところです。

内容を決めることで、そこに意識が向くので情報が増え、内容が濃くなります。

◆ 伝えるべき情報

介護職:食事・排泄・入浴・認知症・終末期が中心
看護職:医療的処置・体調変化
施設長:事故やクレームの共有・会議で決まったことの共有・業務改善

リーダー視点

・食事:食事量の増減や嚥下・咀嚼の状態
・排泄:お通じは何日でていないか
・入浴:認知症の方で入浴拒否している人はいるか
・認知症:帰宅願望、暴力などBPSDを起こしていないか
・終末期:今の状態、本人の要望はあるか
※これは、一部です。

◆実例まとめ

「○○様いつもとお変わりありません。」
この合言葉をなんとかしないといけませんでした。
そこで、身体機能の維持に直結している3大介護(食事・排泄・入浴)と認知症、終末期の5つは申し送ることにしました。
まず、なぜこの5つなのかスタッフに腹落ちしてもらう必要があります。そこで研修をしました。
研修内容は、3大介護・認知症・終末期のそれぞれのケアで介護職が目指すゴールと、その根拠を説明しました。
ゴールとはなにか?!と気になった方は、下記の記事を参照ください。
そこからは、利用者のどこをみればいいのか明確になりました。また、情報が増えたことにより看護職員から「〇〇はどうなの?」とツッコミが入るようになりました。そのおかげで、看護側の必要な情報もわかり、申し送りの内容が充実していきました。

3大介護・認知症・終末期のそれぞれのケアのゴールとは?▼

申し送りの5つのやり方

申し送りは1つの方法にこだわるのではなく、それぞれの特性を理解して使い分けることが重要です。
ここでは代表的な5つのやり方と、それぞれの特徴を解説します。

  1. 口頭(対面での申し送り)
  2. パソコン(正式な記録)
  3. ノート(共有ノート・連絡帳)
  4. ホワイトボード(速報用の掲示板)
  5. メモ(その場の走り書き)

①口頭(対面での申し送り)

メリット

  • ニュアンス・緊急度・表情が伝わりやすい
  • その場で質問・確認ができ、誤解が減る
  • 参加者の理解度を見ながら説明できる
  • 他職員がその場で補足でき、情報の精度が上がる

デメリット

  • 時間と場所を確保する必要がある
  • 全員が同じタイミングで揃わないと共有漏れが起きやすい
  • 伝え手の力量によって情報量に差が出る
  • 内容が残らない(記録は別途必要)

②パソコン(正式な記録)

メリット

  • 情報が正確に残り、後で誰でも確認できる
  • バイタル・食事量などの数値情報の管理に強い
  • 時系列で追えるため、状態変化が掴みやすい
  • 共有範囲が広く、多職種も閲覧しやすい

デメリット

  • 文字だけでは緊急度や雰囲気が伝わらない
  • 記録時間が必要(忙しいと入力が遅れる)
  • パソコンが混んでいるとすぐに記録できない
  • 誤字・入力漏れがあると伝達ミスにつながる

③ノート(共有ノート・連絡帳)

メリット

  • 時系列で「何があったか」が流れで分かる
  • パソコンより気軽に書ける
  • 文章の端々に“現場の空気感”が残りやすい

デメリット

  • 誰が読んだか分かりにくい
  • 書き手のクセで読みづらいことがある
  • 情報が古くなると探すのが大変
  • ノートが職場に1冊しかないと混雑する

④ホワイトボード(速報用の掲示板)

メリット

  • 一目で「今すぐ知るべき情報」が分かる
  • シフト交代の指差し確認に使いやすい
  • 多職種・新人もすぐキャッチできる
  • 更新が簡単で、緊急情報に強い

デメリット

  • 書けるスペースが限られる
  • 誰かが消すと情報が消える(管理する人が必要)
  • 詳細情報を書くのには向かない
  • 字が小さい・読みづらいと共有率が下がる

⑤メモ(その場の走り書き)

メリット

  • バタつく時間帯でもすぐ書ける
  • 忘れやすい「その場の気づき」を残せる
  • 後でノート・パソコンに転記する下書きとして便利
  • 職員によっては覚書として必須

デメリット

  • メモのままだと他者に伝わらない
  • 失くしやすく、転記漏れが事故原因に
  • 情報量が少ない、曖昧になりやすい
  • 形式がバラバラで統一しづらい

申し送りの質が向上する組み合わせ

① ホワイトボード(速報・重要共有)

② 口頭(対面での申し送り)

③ パソコン(正式な記録)

この3つを組み合わせると、
“即時性・正確性・抜け漏れ防止” のすべてがカバーできます。

ホワイトボード → 今すぐ必要な情報を全員に見える化

役割
  • シフトに入った瞬間に大事な情報が一発で分かる
  • 多職種、新人、登録スタッフもすぐ把握できる
書く内容(例)
  • 転倒のリスクが高い方
  • 急遽の受診や体調変化
  • 看取りの経過
  • 本日の特記事項(誕生日、面会予定、ショート新規など)
現場での効果

口頭で聞き逃しても、ホワイトボードを見れば補えるため
「聞いてない」クレームが激減します。

口頭 → ニュアンス・緊急度・優先順位が伝わる

役割
  • “声のトーン”“表情”で緊急度が伝わる
  • その場で質問でき、誤解が少ない
  • 多職種が揃うことで視点が増える
話す内容(例)
  • ホワイトボードに書いた内容の詳細
  • 特に見てほしい利用者の様子
  • 直前の状態変化(朝、排泄、食事)
  • 「今日はこの人を重点的に」という優先順位
現場での効果

パソコンやノートの文字だけでは伝わらない“現場の空気”が共有されるため、
「気づけなかった事故」が減ります。

パソコン → 正式記録として残す・追える

役割
  • 正式な申し送り内容を残す
  • バイタルや食事量、受診状況などを正確に管理
  • 夜勤明けや長期休み明けでもすぐ理解できる
記録内容(例)
  • 体調、ADL変化
  • 医療・看護情報
  • 食事・水分量
  • 排泄状況
  • リスク関連(転倒・感染・看取り etc.)
現場での効果

過去のデータを追えるため、
「小さな変化の見落とし」がなくなります。

申し送り改善で失敗しないためのポイント

申し送りは仕組みを整えれば改善できますが、運用の仕方によっては逆効果になることもあります。
ここでは、実践するうえで押さえておきたいポイントを解説します。

いきなり完璧を目指さない

申し送り改善でよくある失敗が、最初からすべてを整えようとすることです。

・内容を細かく決めすぎる
・多職種を一気に参加させる
・新しいルールを増やしすぎる

こうしたやり方は、現場の負担を増やし、結果的に続かなくなります。

まずは「内容を決める」または「日勤リーダーを置く」など、
1つだけ改善することから始めると定着しやすくなります。

ルール化すると“形だけ”になるリスク

申し送りはルールを作ることで安定しますが、
形だけの運用になるリスクもあります。

例えば、
・決められた項目をただ読み上げるだけ
・考えずに「異常なし」で済ませる

といった状態になると、質は上がりません。

・なぜこの情報が必要なのかを共有する
・時々、内容を見直す機会を作る

「考える申し送り」を維持することが重要です。

メリット|現場が“気づけるチーム”になる

申し送りを改善すると、単に情報共有が良くなるだけではありません。

・小さな変化に気づける
・事故やトラブルが減る
・多職種の連携が強くなる
・新人でも動きやすくなる

結果として、現場全体のケアの質が底上げされます。

特に大きいのは、
「誰かが気づく」のではなく、“チームで気づける”状態になることです。

デメリット|最初は手間と時間がかかる

一方で、導入初期は負担もあります。

・ルールを決める時間が必要
・職員への説明や共有が必要
・慣れるまで時間がかかる

そのため、最初は
「面倒になった」と感じる職員も出てきます。

・短時間(10〜15分)で終わる設計にする
・効果(ミス減少など)を共有する

これにより、徐々に現場に定着していきます。

まずは1つだけ変えてみてください

結論は、申し送りは仕組みを整えれば必ず改善できるということです。

「いつ・どこで・誰が・何を・どうやって伝えるか」を整理するだけで、
情報の抜けやズレは大きく減り、現場の動きやすさは確実に変わります。

実際に、小さな改善でも
「聞いていない」「伝わっていない」といったトラブルは減っていきます。

この記事で紹介した中から、
あなたの施設で取り入れやすいものを1つだけ選んで実践してみてください。

それだけで、現場は確実に前に進みます。
まずは今日、1つだけ変えてみましょう。

「利用者さんのために、本当に良い介護ができているのかな?」と感じているスタッフさんへ▼

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