はじめに|「看取り介護って何が正解?」と悩むあなたへ
「看取り介護って何が正解なのかわからない」「本人のためになっていない気がする」と悩むことはありませんか?
それは、終末期ケアの基本的な考え方とご逝去までの具体的な流れを知ることで解決できるかもしれません。
“利用者の生活の質を守る”という介護観に共感する方には、特に読んでいただきたい内容です。
「もっと一人ひとりに寄り添いたい」「でも現場ではそれが難しい」──そんな葛藤を抱えるあなたへ。
看取り介護は、限られた時間の中でも「その人らしさ」を大切にできるケアです。
最期の時間を、本人やご家族、そしてあなた自身にとって意味あるものにするために、この記事が少しでもヒントになれば幸いです。
この記事では、9年間介護の現場で働いてきた筆者が、「ありがとう」と言われる看取り介護の実践方法をお伝えします。
終末期ケアとは?
「最期まで自分らしく生きる」をサポートする介護
看取り介護とは、ただ最期の瞬間に寄り添うだけでなく、「今までの生活の延長線上」で本人らしさを大切にするケアです。
「好きなものを食べさせる」「音楽を流す」などは、終末期に急に始めるのではなく、日常の中で行っていくべきことです。
看取り介護の流れと具体的な対応
1️⃣医師の指示後、まずは物品の準備から
- 口腔セット(歯ブラシ、舌ブラシ、口腔ウェッティーなど)
- 体交クッション、高反発マットレス(※エアマット非推奨)
- OS-1ゼリー、補助食品(例:エンシュア)
- ドライシャンプー、陰洗ボトル、保湿クリーム、清拭料 など
※物品の買いすぎ注意:余った際に無駄になる可能性があります。
2️⃣看取り会議で「本人とご家族の意思確認」
「できる・できない」で判断せず、まずは「思い」を聞きます。
「ちょっとこれはできないぞ」と思う要望があるかもしれませんが、それでも一旦は聞きましょう!
本人の体調が優れず直接聞けない場合もあります。その際は、ご家族に代弁してもらいます。
3️⃣多職種連携で方針を決定・共有
本人と家族の思いを施設メンバー(看護師・介護職・相談員など)と共有し、実現に向けた方法を話し合います。
ここでは、本人に寄り添ってきた施設側の思いも方針に組み込みましょう。
例)「◯さんはこう思っているんじゃないかな。」
取り組みが決まったら、本人とご家族に共有します。
4️⃣日々変化するニーズに応える
日に日に本人やご家族のニーズは変わっていきます。都度、申し送りで共有し次の取り組みを決めていきます。
「悲しい」と言った発言があれば、訪室の回数を増やすなど、柔軟な対応が必要です。
看取り介護でも「3大介護」を目指そう
食事|口から食べる喜びを大切に
点滴や流動食だけでなく、できる限り“食べる楽しみ”を支援します。
排泄|できる限りトイレへ
ベッド上での排泄ではなく、スタッフの数を増やしてでもトイレに連れて行く工夫をしましょう。
入浴|清拭だけでなく浴槽での入浴も視野に
状態により可能であれば、湯船に浸かるという体験を提供します。
医師や看護師と連携しながら、「できる限り」の支援を行いましょう。
- 🔗 利用者主体の介護とは?
- 🍚 食事介助編
- 🚽 排泄介助編
- 🛁 入浴介助編
5️⃣死の兆候に備える
呼吸困難・チアノーゼ・意識混濁時の対応
- 呼吸困難:姿勢を工夫、側臥位に
- チアノーゼ:保温を重視
- 意識混濁:安心できる声かけ「近くにいますよ」など
6️⃣ご逝去後のエンゼルケアの流れ
- 医療器具の撤去
- 目や口を閉じ、義歯を入れる
- 尿や便など体内の内容物を排出
- 綿を詰める(鼻腔、口腔、耳、肛門、膣など)
- 全身の清拭と整容
(死化粧・ヒゲ剃り・衣類を左前で着せ、白布を顔にかける死化粧・ヒゲ剃り・衣類を左前で着せ、白布を顔にかける)
まとめ|看取り介護に「特別なこと」はいらない
「終末期になったから特別なことをしよう」ではなく、日々の積み重ねの延長にこそ意味があります。
本人の思いを受け止め、実現に向けて医療と連携し、「最期まで自分らしく生きる」をサポートしましょう。
それが、「ありがとう」と言ってもらえる看取り介護に繋がるはずです。
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