はじめに|「何をすればいいかわからない」と感じたあなたへ
「終末期ケアって、何から始めればいいの?」
「この支援、本当に本人のためになっているのかな…」
そんなふうに、戸惑いや不安を感じたことはありませんか?
とくに看取りのケアは、「正解がない」と言われがちで、自信を持ちづらい分野でもあります。
この記事では、終末期ケアの全体像を6つのステップに分けて、介護職が現場で「今すぐできること」を具体的に解説します。
「看護師とどう連携するか」も踏まえて、一緒に支えるヒントを見つけていきましょう。
終末期ケアとは?
「最期まで自分らしく生きる」をサポートする介護
看取り介護とは、ただ最期の瞬間に寄り添うだけでなく、「今までの生活の延長線上」で本人らしさを大切にするケアです。
「好きなものを食べてもらう、音楽を流す」などは、終末期に急に始めるのではなく、日常の中で行っていくべきことです。
看取り介護の流れと具体的な対応
ステップ1|医師の指示後にまずやること:物品準備と環境整備
医師から「看取りになる可能性が高い」と指示があったら、まず行うべきは物品と環境の準備です。
🔹必要な物品例(状況に応じて調整)
- 口腔セット(歯ブラシ、舌ブラシ、口腔ウェッティーなど)
- 体交クッション、高反発マットレス(※エアマット非推奨)
- OS-1ゼリー、補助食品(例:エンシュア)
- ドライシャンプー、陰洗ボトル、保湿クリーム、清拭料 など
✅【注意】物品の過剰準備は避けましょう。
最期まで使い切れず、残ってしまうケースも多くあります。
看護師と相談しながら、必要最低限の物品を確認・共有することで、無駄を省き、スムーズな支援が可能になります。
ステップ2|看取り会議で“思い”を共有する
看取りの方針を定める前に重要なのが、本人やご家族の思いをしっかりと聞くことです。
- 「最後に何をしてあげたいか?」
- 「本人が大切にしていたことは?」
- 「家族として何を望んでいるか?」
体調により本人の意思が聞き取れない場合は、ご家族に代弁してもらいましょう。
「これは難しいかも」と感じる希望であっても、まずは受け止める姿勢が大切です。
🤝ここで聞き取った思いは、後の方針づくりや看護師との連携の基盤になります。
ステップ3|多職種で方針を立て、現場に落とし込む
次に行うのが、看護師・介護職・相談員・管理栄養士などとの連携会議です。
🧩連携のポイント
- 介護職:「生活の中での様子」「本人らしさ」「小さな変化」
- 看護師:「バイタルの変化」「医療面の見通し」
- 相談員:「家族との関係性や意向」
このとき大切なのは、介護職としての視点もしっかり伝えることです。
たとえば──
「◯さん、毎日音楽を楽しみにしていました」
「家族が来た日は、食事の量が増えていました」
こうした情報は、看護師だけでは見えない“生活の質”に関する重要なヒントになります。
ステップ4|看取りの3大介護を諦めない(食事・排泄・入浴)
「もう何もしなくていい」ではなく、“今できること”を見つけて支える姿勢’’が大切です。
🍚 食事|口から食べる楽しみを守る
「もう食べられないかも」と感じても、一口でも、好きなものを食べられたら幸せ。
そのためにできる支援があります。
🥢おすすめの工夫
- 看護師と連携し、嚥下状態を日々チェック
- 噛みやすい・飲み込みやすい食形態への調整
- 好きだったメニューを小皿で提供
🥣忙しい現場では、宅食の導入もおすすめ
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- 見た目がきれいで“食べたい気持ち”を引き出せる
- 栄養バランスも◎で、看護師にも相談しやすい内容
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🚽 排泄|できる限りトイレでの排泄を
体調が許す限り、本人の尊厳を守る排泄支援を。
- トイレへの誘導を検討(スタッフ増員・見守り支援)
- ポータブルトイレの設置や工夫
- 看護師と協力し、体調に合った時間・方法で
🛁 入浴|清拭だけでなく、部分浴や足浴も検討
入浴は「生きている実感」や「気持ちよさ」を得られる大切な時間です。
- 看護師と相談し、機械浴や足浴も検討
- 難しい場合は、温かいタオルでの清拭+香りのケアなど
🔎 もっと深く知りたい方へ|3大介護の関連記事
ステップ5|日々変わるニーズに柔軟に応える
終末期は、1日ごとに変化があります。
- 表情の変化
- 食欲の増減
- 家族の不安の強まり
こうした変化に気づけるのは、常に生活を共にしている介護職の強みです。
🔄情報共有の方法
- 看護師とこまめに申し送り
- 「こんなことがありました」と日常の中の出来事を伝える
- 看護師の判断に結びつく「生活の情報」を意識する
ステップ6|最期の瞬間とエンゼルケアまで支える
ご逝去が近づいたとき、看護師との連携はさらに重要になります。
状況 | 介護職ができること | 看護師との連携 |
---|---|---|
呼吸困難 | 体位調整・声かけ | 医療的な呼吸管理 |
意識混濁 | 安心できる声がけ | 状態変化の即時報告 |
死後のケア | 目・口・整容・着替え | 医療器具の外しと連携 |
最期の時間こそ、「人として関わる」ケアの原点です。
まとめ|看護師との連携で、“その人らしさ”を守るケアへ
終末期の支援に正解はありません。
でも、あなたの気づきと行動が、本人やご家族にとっての「ありがとう」につながる支援になります。
- 看護師との連携で、不安を分かち合いながらケアを
- 介護職として「生活を支える力」を信じて行動を
- 最期の瞬間まで、“その人らしさ”を大切に
「このままでいいのかな?」と思ったときに…
介護の現場で日々向き合っていると、「今の支援は本当にその人のためになっているのかな?」と感じることがあります。
私自身、そんな迷いの中で出会ったのが、「新しい介護」という本です。
「介護する側」から一歩引いて、「ともに生きる」という視点をもらえたことで、
目の前のケアの意味を改めて考えるきっかけになりました。
ちょっと立ち止まって振り返りたいときに、読んでみる価値ありです。
興味があるかたは新しい介護を参照ください。
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