介護観を浸透させる施設の仕組みづくりとは?Part①

施設マネジメント

介護の現場で働いていると、日々の業務に追われて「今日、自分は利用者のためになることができたのだろうか?」と自問してしまうことはありませんか?
「業務をこなすこと」が介護職の役割になってしまい、やりがいや本来の目的を見失ってしまう──そんな経験は、誰しもあると思います。

このような状態が続くと、モチベーションは低下し、利用者への愛情や情熱が薄れていきます。
そうならないためには、まず「働く環境」そのものを見直す必要があります。

今回は、私自身がこれまでの経験の中で実践してきた「介護観を浸透させるための5つの仕組み」をご紹介します。
現場リーダーや施設マネジメントを経て培った、実践的なノウハウです。

自己紹介|介護現場の「当たり前」を変えたい!

プロフィール

  • 名前: 非公開(介護職歴10年目、31歳・2025年4月現在)
  • 資格: 介護福祉士
  • 勤務歴:
    • 介護付き有料老人ホーム(6年)※4年目に現場統括リーダー就任
    • 住宅型有料老人ホーム(3年)※訪問介護事業所サービス提供責任者兼マネジメント
    • 現在:看護小規模多機能型施設の主任リーダー(2025年4月~)

強みとスキル

人材マネジメントと意識改革
現場から離れた立場で、スタッフの意識をどう変えるか、介護観のすり合わせに尽力。

私の「やりたい介護」と「やりたくない介護」

やりたい介護

介護環境を「ふつうの生活の場」に近づける。
そして「なじみの関係」を作る介護。

やりたくない介護

「スタッフ主体」の介護。
利用者の意思よりも、スタッフの効率を優先してしまう関わり方。

問題提起

私はこれまで10以上の介護施設を見てきましたが、どこでも同じような光景に直面しました。
本来、人生の最終章を穏やかに、主体的に生きてもらうはずの施設で、利用者がただ“受け身”になってしまっている──。

  • 自分で食事ができるのに、介助を優先
  • トイレに行けるのに、オムツ対応
  • 機械浴で流れ作業的な入浴
  • 「認知症だから」と自由を奪うケア

私は「このままでいいのか?」と自問し続け、やりたい介護・やりたくない介護を明確に言語化しました。

「意欲」を引き出す4つのケア

1. 生きがいのケア(やりたいことを叶える)

例:長年の夢だった旅行にいく 

2. 自立支援のケア(できることは自分で)

例:受け身になる機械浴ではなく、自主的に動く個浴に入る

3. かかわりのケア(施設内での役割)

例:整備士だった方がホームの車を洗車する

4. 社会参加のケア(地域の中での役割)

例:近隣公園のごみ拾いなど、地域貢献活動

なぜこの4つのケアなのか?

人は年齢を問わず、「やりたいこと」「感謝されること」「できる自分」に意欲を感じるものです。
この普遍的な感情を尊重することで、高齢者の「生きる力」を引き出すケアを実現したいのです。

介護観を浸透させるための5つの仕組み

4つのケアを実現するためには、スタッフ全員が同じ「介護観(介護に対する考え方や価値観)」を共有する必要があります。
スタッフそれぞれが異なる価値観を持っているからこそ、統一された「目指す介護観」の浸透が重要です。

以下は、私が実践してきた介護観を浸透させるための5つの仕組みです。

1. 人間関係の構築

信頼関係なくしてチームケアは成り立ちません。まずは「人としての関係づくり」が第一歩。

2. 会話の場をつくる

日常的に価値観を共有できる対話の場を設定し、スタッフ同士の「ズレ」を埋めていきます。

3. 人財の選定

「理念」に共感する人を採用すること。スキル以上に介護観の一致を重視します。

4. リーダーの配置

現場をまとめるリーダーには、理念や介護観に共感し、発信できる人を起用します。

5. 委員会(プロジェクト)の活用

介護観を体現する専門部隊を立ち上げ、取り組みを組織全体に広げていきます。

※次回は、この5つの仕組みについて1つずつ詳しく解説します!

まとめ|介護観を浸透させる仕組みづくりが、やりたい介護を実現する鍵

現場と方針の“ズレ”に悩む管理者の方にとっても、この5つの仕組みは、スタッフの意識を揃え、やりたい介護を実現するためのヒントになるはずです。

介護の現場で「これが本当に利用者のためになっているのか」と感じることはありませんか?
業務に追われる日々の中で、理想の「やりたい介護」と現実のギャップに悩む方も多いはずです。

そんな時こそ大切なのが、介護観をスタッフ間で共有し、施設全体の方向性を揃えることです。
今回の記事では、「利用者主体の介護」を実現するために私が現場で取り組んできた4つのケアと、介護観を浸透させるための5つの仕組みをご紹介しました。

特に「人間関係の構築」や「考えの近い人をリーダーにする」といった施設マネジメントの工夫は、介護の質を根本から高めるために非常に重要なポイントです。

次回は、5つの仕組みについてより具体的に掘り下げていきます。
現場を変えたいと思っているあなたにとって、きっと実践できるヒントが見つかるはずです。

「介護施設の仕組み作り」や「利用者主体のケア」に悩む全ての介護職の方へ。
一緒に“やりたい介護”を実現できる現場をつくっていきましょう!

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